MTAアンジェラスは日本ではヨシダから発売されているMTAです。ホワイトMTAで、操作時間も15分ということでそこそこ使いやすい、値段も1gで1万3000円なのでそこまで高いとゆうわけでもない。なんにでも使えるMTAのような気がします。大臼歯の根管充填とか、直接覆髄に適した材料です。iPhoneを構えたひとがパッケージに写っているのはご愛嬌!。
パーフォレーションリペア(根管途中での穿孔封鎖)
根管治療後、咬合痛および自発痛を訴えて来られました。レントゲンからは遠心根のガッターパチャ―が途中で消えるような画像です。仮封を外してみると、青い物が見えます。これは、多分印象材が根管に剥がれ残ったものと考えられます。また、青い印象材を剥がしてみると、根尖の拡大図では歯髄組織の残存が見られます。ただし、痛みの種類が違うと思ったので、CTを撮影してみると、、、
どうやら、メタルコア(歯の中に入れる土台)を入れる部分を切削する際に根管の途中で穿孔しているようです。(なぜ、メタルコアなのか??なぜ、寒天が残ってるの?という疑問など多々あるのですが、)このまま、メタルコアを装着すると何年後かには感染して抜歯となるでしょう。というか、痛いので装着もできないはずですが、、、手際よく、速い治療だったらしいのですが、これではちょっと、、、、手間かもしれませんが、歯質が十分残っている場合はレジンコアのほうがいいと思います。
今回の症例では、穿孔のある遠心根はMTAで根管充填を行い、近心根は問題なかったのでガッターパチャ―で根管充填しました。MTAの充填は非常に予後もよく、2年ほど経過していますが、なんの問題もありません。
PRO ROOT MTA
日本で入手可能なMTAとして最も古くからあると思うのがこのPRO ROOT MTA だと思う(個人輸入とかは除く)。2007年より日本でも覆髄目的での使用可能となったのだが、覆髄の成功する条件として、
- 正確な歯髄診断
- 無圧的な感染除去
- 無菌的操作
- 硬化までの修復方法
以上の4点がきちんと達成されないといけないと思うのだが、2番めの無圧的な感染除去はレーザーによる非接触操作で、3番めの無菌的操作はラバーダムをして、顕微鏡下での処置がいるのではないかと思う。故に、保険治療においてMTAで直接覆髄するのは無謀としか思えない。また2〜4までうまく行ったとしても、歯髄診断はかなり困難だと思われる。(再現性がないし、あまり判断する根拠とかもない)のでうまく処置したんだけと診断が間違っててやっぱり、根管処置ということもよくあるんじゃないだろうか、、
とりあえず、MTAは直接覆髄よりも、根充、パーフォレーションリペアおよび逆根管充填でその性能が発揮できるとおもいます。
ENDOCEM MTA
MTAとは mineral trioxide aggregate の略で、今、非常に注目されている材料です。
まだ、市場に出て浅いせいか、日本では覆髄目的でしか、保険はききません。覆髄目的ではできれば、ホワイトMTAと言って粉が白いものが歯冠の変色、色の透過の兼ね合いもあってよく使われています。
しかし、どの製品もやや硬化時間が長いように思います。対してENDOCEM MTAは硬化時間が3分程度と非常に早いため、パーフォレーションリペアや逆根管充填に用いた場合に便利です。しかし色はグレーなので、メーカーのパンフには歯の着色はないと書かれてますが、やや怖い、、、
なので、パーフォレーションリペア、逆根管充填および大臼歯太めの根の根充によく使ってます。
パーフォレーションリペア(分岐部の穿孔)
以前であればこのようなパーフォレーション(穿孔)は抜歯の適応です。しかしながら、歯冠破折がない、根尖病巣もないため十分に保存可能となりました。直径2~3mmはある大きなパーフォレーションです。まずは穿孔部の消毒を十分にして、MTAを充填していきます。写真で白く見えるのがMTAでこの症例ではこの広い範囲がパーフォレーションでした。充填後のレントゲンでも、分岐部にMTAが見られます。現在も経過観察中ですが、なんの症状もありません。