根管治療(その1)

CTでの観察から

 15年ぐらい前に、米国で根管治療を受けたとのこと。最近痛んだので根管治療を始めたとのこと。なぜ、本院に来院されたかというと、、忘れました?(なぜだったかなあ)まあ、なんにせよ、アメリカで根管治療したということはそんなに変なことはしていないはず。15年前であっても、アメリカで根管治療専門医ならその頃でも年収は5000万ほどはあったはず。(ただし、裁判費用で2000万ぐらい取られると、この辺りは定かではない)言い換えると、そのぐらい治療費も高いし、失敗したら裁判沙汰になるのできちんとした治療はしてるはず。

初診時のパノラマを見てみますと、上顎洞がややクラウド(黄色の部分)なのと根尖部にX線透過像(赤)が観察できますが、細かいところは不明です。

デンタルX線でも同様で今度は頬骨(青色)が邪魔で、もっとよくわかりません。単純レントゲンでは左上6に病巣によるX線透過像があることがわかりますが、それ以上の情報は得ることが難しいと思います。

そこで、CT撮影を行いました。CTでは歯の状態をあまり周囲の影響無く観察することができます。

最初に口蓋根(向かって左)と遠心頬側根(向かって右)をみていきます。どちらも状態は悪く、抜歯でもいいかも知れません。根尖には何かの充填物(黄色)がみられます。赤色の部分が病巣でかなり広くおおわれています。一般的に、上顎の大臼歯での根管治療ではまっていることが多いのは、口蓋根では根線破壊であったりするのですがその様子は見受けられないですね。

追加で矢状面でのCT像です。歯性上顎洞炎と思われる像がみられます。

次に近心頬側根ををみていきます。

青色が歯根で緑色が治療中の根管です。赤色が病巣です。一般的に病巣が根管由来なら病巣の中心に根管が位置するはずですし、また根管も歯根の中心にきますので、容易に近心頬側第2根管がありそうだと予測できます。

パノラマX線、デンタルX線およびCTから、今回の根管治療はMB2をしっかり探すことが大切なのではないかと考えました。そこで実際の歯を観察してみました。(その2に続く)