根管治療(その4)

HFC(High Frequency Conduction:高周波通電)を行っています。前回の治療で、MB2を発見、拡大清掃したわけですが、CTから見られるように病巣が広範囲なこと、MB2とMB1の間の側枝の存在の可能性も考えて全ての根管に行いました。

使用した機材はモリタ社製のroot ZX3です

発表されて即買って使ってます。広島モリタでの購入第一号でした。

一般に根管治療は、歯の中の清掃を徹底的に行い、根管外へのアプローチは外科的手段でも用いなければならなかったのですが、このRootZX3によるHFCはそれを可能にしました。

(その5へ)

根管治療(その3)

前回は、初診時の第一回目の治療でしたが、今回は2回目です。動画ではもうすでに隔壁を作ってラバーダムをしています。MB2以外の根管はもう十分に拡大されてますので、あまり触りません。今回の治療のゴールはMB2の最終拡大です。

#8号のファイルで根尖まで穿通します。引っこ抜いたファイルをみると根管の湾曲がとても強いことがわかります。まあ、きちんと穿通できていればあとは#25(グレートテーパー)#8、#15、#20、#25の順番で拡大すればOKです。拡大はレシプロで、具体的にはelements_e-motion を使用してます。まだ、国内販売してなさそうなので個人輸入で購入です。 この機械は湾曲根管であっても根管およびファイルのどちらにもストレスを与えることなく拡大できるので、前のタイプからのお気に入りです。

その4に続く

elements_e-motion

タッチパネルが新しくいい感じです。TFモードがお気に入りです。

https://www.kerrdental.com/kerr-endodontics/elements-e-motion-shape

Kavo-Kerr社

根管治療(その2)

CTでおおよそのことはわかったので、その予想と実際の根管の様子が同じなのか、全くCTでは予想できないような状態なのかをみていきます。

おおよそ動画で見ればいいのですが、最初は根管は開放(何もフタをしていない状態)の状態でした。ここから推測するに、前医の先生は少しお手上げ状態だったのかも知れません。根管治療の初期に置いて排膿が止まらない場合に解放して内圧を下げるということはあるのですが、治療の中期以降ではあまりないと思っています。

CTの観察結果から、MB2(近心頬側第二根管)の存在は想像できたので、その辺りを観察していったのですが、もうすでにそこにありました。ただ、根管拡大、清掃はなされていなかったようなので、ついつい、その日に拡大までしてしまいました。この清掃、拡大には特殊な器具を使っているので、朝飯前です。ただ、裸眼でハンドファイルの組み合わせでは無理だと思います。清掃、拡大が終了したので第一日目はここまでです。そう言われれば、来院理由がセカンドオピニオンだったような気がしました!! ついつい、さわってしまったのですが、あとはこの根管については普通に処置すればいいのです。とお話しをさしていただきました。

その3につづく

XP-endo Shaper , XP-endo Finisher

XPーendo shaperとFinisher について聞かれることがあったので、また最近使用頻度が増えているので書いてみる。

今までの、リーマー(根管清掃器具)は回転を前提としているので、必ず大なり小なり円錐形の形をしていたのですが、XPシリーズはコンセプトがまったく違う器具です。形状記憶合金でできていてしなやかで、根管をムチでこするように拡大もしくは清掃します。

右のX線写真は上顎の2番の根管充填後です。一見するとなんの変哲もない症例に見えますが、根管の中央あたりがくびれているのがわかります。この部分を削除(拡大)してもいいと思うのですが、あまり歯は削りたくないので、XP-endo Finisherでくびれの部分とその下のアンダーカットの部分を清掃して根管充填を行いました。

根尖部分ではなく、歯根の横に病巣があるケースです。これも病巣の位置を意識して、XP-endo Finisherで最後の仕上げをしてから根管充填を行いました。術後の写真では歯根の側方にあった病巣が消えつつあるのがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

下の3番の抜髄後です根管の不規則なカーブや側枝にもうまく追従できています。こんなケースがXP-endoの真価が発揮されます。(根充が少しオーバーしてますが、問題はないです)

 

 

 

 

根管洗浄:EndoVacをもちいて

膿でドロドロになっている根管の洗浄です。

根管の中が汚染されているといつまでたっても痛みは止まらず、また治りません。そのため根管を拭いたりするのですが、どうしても拭き残しがでると思うので、きちんと根管洗浄を行うのがいいと思います。大切なことは、根管の先端まできっちり洗浄すること。以外にこれが難しい。根尖に汚れを残してあったりとか。拭くついでにわずかな汚れを押し込んだりとか、はたまた、洗浄液の根尖を超えての押し出しはさらに怖いと。このような問題を解決した根管洗浄法として”EndoVac”を使用した陰圧洗浄があります。Part 1の動画では根管洗浄をしており、1:30ぐらいでは根尖からの出血も確認できます。いわゆる血膿を吸い上げている状態でしょうか。

Part 2の動画では透明な歯牙模型(True tooth:Dental Engineering Laboratories製)でEndoVacを使用しての根管洗浄の様子です。低倍率ではよくわからないと思いますが、1:25あたりの様子では、EndoVacのチップは根尖に届いていないのですが、洗浄溶液が根尖まで届いて循環している様子がわかると思います。