Er-YAG Laser,HFC

ご依頼された症例です。MB2についてはEr-YAG Laserを使用して、根管のネゴシエーションは35L(NSK)、根管拡大は Elements™ e-motion(Kerr)、HFCは(High Frequency Conduction:高周波通電) RootZX3、モリタでの治療を行っています。

通法では発見困難な根管の探索および拡大

他院からの紹介です。近心根管にリーマー挿入時に違和感が消えないとのことでした。CTを撮影してみると、MB根が存在しそうな根管形態です。実際にのぞいてみると、、、まったく、見つかりません!!滝汗~~~

気を取り直してMLからのフィンを清掃することにしました。すると、Er-YAGレーザー処置中にイスムスの形が見えてきました。試しにリーマーを挿入してみると、、OK、”I got the penetration !!!!” 今回の症例は少し焦りましたね。

直接覆髄のためのう蝕象牙質の除去について

右上6番、24歳女性のう蝕処置で現在特に症状はなく、歯髄は健康と考えられるが、 う蝕は深い。

1時間程度のものを編集してます。MTAを貼付する直前までです

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歯髄が健康で(特に症状はなく)大きなう蝕をもつ若年者の処置は意外と難しい。う蝕を完全に取りきると抜髄になるし、う蝕を残してフッ素等のセメントでカバーしていくのか。どちらを選択するのかは難しい判断です。やはり、抜髄をするとどんなに丁寧にしても、感染根管になる可能性はあるし、また、失活歯の破折の恐れもあるので抜髄は避けたい。実際に今回の症例では、隣の7番が大きな病巣をもつ感染根管になっている。一方で、露髄を避けるためにう蝕象牙質を残して、フッ素入りセメントや抗生剤などでカバーする方法は、以前にも書いたが、どの程度の厚みのう蝕象牙質を残すの?とか細菌叢に対する診断同定がないので、やや予後に不安を残す気がする。今回の症例でもレジン充填の下に軟化象牙質の発生があり、う蝕象牙質の完全除去はやはり基本な気がする。
そこで、第三の方法として、う蝕象牙質の完全除去を目指し、露髄部分はMTAでカバーするという”直接覆髄”が選択肢としてあげられる。

近年、MTAという材料が開発、臨床応用されてその臨床予後の良いことが数多く報告されています。ただし、歴史の浅い材料なのでその使用方法や適応に数々の疑問があるのも事実です。今回は、う蝕の完全除去にはクラレ社の”カリエスディテクター”を使用しました。また、歯髄直上の象牙質切削にはEr-YAGレーザーを用いています。Er-YAGレーザーでは非接触で象牙質および歯髄組織の蒸散が可能なので、余分な圧を歯髄にかけることなく、感染象牙質および感染歯髄の除去が可能です。また、ラウンドバーではバーの先端の大きさでの削合しかできませんが、Er-YAGレーザーではう蝕象牙質の選択的な削除が可能です。

術前:歯髄に近接する大きなX線透過像あり。
術前:歯髄に近接する大きなX線透過像あり。
術直後:MTAによる直接覆髄後、7番も根管治療を開始してます。
術直後:MTAによる直接覆髄後、7番も根管治療を開始してます。6番にはやや冷水痛が認められます。

Er-YAG レーザーでの根管治療

西日本歯内療法学会での発表ネタですね。

根管の明示にはいろんな方法や知識が必要なのはいうまでもないのですが、よく言われるのが解剖学的知識が重要とかよく言われます。けれどこれがかなりの曲者です。例えば、上の7番において2根管のこともあれば、4根管のこともある。根管を2つ見つけてこれで終わりとすると、実はもう1つあったとか、はたまた、2つで正解なんだが、探しすぎて穿孔して歯に大きなダメージを与えたりとか、どのような解剖学的知識が必要なのか、よくわかんないよねー というのが本音です。そこで、確実に、安全で、安心な、根管の探索です。歯科用顕微鏡とCTとEr-YAGレーザーのコンビネーションがそれを実現します。

MB2の探索、上顎大臼歯

福山市の北のほうからの患者さんです。根管処置をして冠を入れるも、痛みが引かないので、冠を除去して再び根管治療を行うも症状が引かない。=打つ手がないので抜歯かもとなった時点での紹介です。紹介していただいた先生もレントゲンから近心頬側根が原因と考えられていたのでしょう。同部のみの削合がしてありました。メタルコアとレジンコアが混在してたので2回ほどはされたのかな?

CTで確認すると近心頬側第二根管(MB2)がありそうな気もしたので、MB1のフィンを削合しつつMB2の探索を行いました。

まずは、CTで歯根の断面図、病巣との位置関係を確認して、第二根管が存在するのか、しないのかのおおよそのあたりを付けます。もしも第二根管が存在しないのにドンドン削合すると当然歯はだめになります。安全に、確実にMB2を発見することがなにより大切です。Er-YAGレーザーは水に特異的に反応するので、様々な解剖学的形態が混在する歯質の削除に適しています。最初は、MB1のフィンを探すようにレーザーを当てます。その後フィンの末端にMB2があるかを確認します。この手順では、Er-YAGレーザーはもちろん必須で、他にも歯科用顕微鏡とできればYirro-plus ミラーとかもほしい。

MB2の入り口を明示したらあとは拡大をして(一言で書いてますが、ここにもいろんなノウハウと特殊器材が投入されます)一回目の診療は終わりです。次回来院時には打診はやや残るものの、症状は引き気味で、3回目の来院時にはすべての症状が治まりました。