リーマー除去

リーマー破折があり、かつその先に病巣があると厄介です。除去できなければ、歯根端切除、意図的再植術もしくは抜歯をしないといけないと思います。もちろん、病巣がないのであれば、除去する必要はありません。すべての歯科治療の中で、一番困難なことの一つに、根管の中の破折リーマー除去があげられるのではないでしょうか?よく噛める入れ歯をつくりますと、とかインプラント、ホワイトニングについての宣伝はよく見ますが、破折リーマー除去できます!!ということはあまり見かけないと思います。(もちろん、マイナーな問題だからかもしれませんが。)

 

破折リーマーの除去は本当に難易度も高く、2mmのものを除去するために3~4時間かかることもありましたし、除去不可能なこともありました。(一般的には、除去不可能なので、破折リーマー=除去不可能=抜歯というイメージでしょうか。)しかし、いまでは、30分程度で除去できるようになりました。今回の症例でも右上7番の遠心頬側根に2本の破折リーマーが入っていましたが、1時間とかからず除去できました。

もちろん、このようなことを行うには技術を求められるのかもしれませんが、CTを用いた診断等が大切なのはいうまでもありません。これは別症例ですが、とても深いところにある小さな破折器具ですが、きちんと除去できました。破折器具除去においても、技術および経験も大切ですが、一番大切なのは診断(≒知識)です。

MTA は魔法のお薬??

今回は少し変わったタイトルですが、、

MTAは覆髄として保険適用されていますが、根管充填剤としては保険適応外です。しかしながら、正確に手順を守って使えばこれほどよい根管充填剤はないと思います。今までの常識では100%保存不可能だと考えられていた歯、(論議するまでのないぐらいひどい状態であっても)も治癒に持っていくことができることもあります。しかしながらそれは、顕微鏡下での確実な根管清掃や、CTを用いた確実な診断あってこそです。ただ、単にMTAを充填しただけでは治りません、魔法のお薬ではないのですから。

なぜ、そのようなことを書いたかというと、先日歯科医師会での休日診療を行っていたところ、上顎が腫れた患者さんが来られました。上顎の歯にMTAが充填してありました。お話を聞くと”根っこの先の膿は取れないので、MTAをいれてみましょう?”だそうです。MTAは魔法のお薬ではないので、根管拡大等の処置が不十分なところにいれても無駄だと思うのですが、、、

この写真の患者さんは歯茎の腫れがひかないとのことで来院されました。レントゲンでは

1:リーマーの破折があり、

2:パーフォレーションもあり、

3:一部歯が破折しているようにも見えます。

さすがにこれは”無理です”とお断りしようかなと思ったのですが、歯を実際に診てみると意外に動揺はありませんでした。ということは

3:破折はしているけれども、完全破折ではない。2:パーフォレーションはリペアすればいいし、1:リーマーは除去すればいい。と考えられました。破折部分はMTAを充填することにより硬組織の再生にもつながります。

初診時にしっかりとお話をして同意が得られたので、浸麻して根管内のものをすべて除去し、根管の清掃を徹底的に行いました。根管内には増殖した歯肉もあったのですがこれはEr-YAGレーザーで除去しました。2回目の来院では歯肉の腫れ、慢性的な痛みもすべて消えていました。そこで、根管充填およびパーフォレーションリペアをMTAをもちいて行いました。

MTAの充填終了後です。もちろん、すべての症状は消え、なんの問題もありません。このような症例ではガッターパーチャーでの充填は無理だと思われます。MTAを使用してならではの症例だと思います。これでみるとやっぱMTAは魔法の薬かもね~~

 

 

 

 

破折器具除去、パーフォレーションリペアとMTAによる根管充填

 知り合いの先生からの紹介、治療途中で器具が破折したらしい、2か月間がんばったが除去できない、もちろん歯の痛みも取れないとのこと。2

 最初に断っておくと、折れない器具はありません(当たり前)。なので細心の注意をはらっても、折れることもあります。おれてもその先に感染源がなければ無理に除去する必要はありませんし、何の問題もありません。しかしながら、今回の場合は破折器具がやや根尖を突き抜けているし、病巣もあるし、歯も痛いので除去は必須です。できなければ抜歯です。言い換えるなら、保険治療なら100%抜歯です。

今回の破折器具の除去は非常に簡単でした。あまりに簡単なので、ラバーダムするの忘れてます、、、、マイクロを除いて、破折器具が見えている、動揺しているので何の問題もなく取れました。10分とかかっていません。

次の問題は近心壁に穿孔していることと、根尖が大きく壊れていることです。穿孔部から覗いている組織はEr-YAGレーザーで処理します。余分な歯質は削除しないし、象牙質の表面処理も同時にできているので、このような場合にEr-YAGレーザーの使用はとっても便利です。あとはMTAにて穿孔部をリペアしつつ、根管充填を行うことで問題解決です。project-screenshot

処置終了後、1か月程度の様子ですが、根尖の透過像などすべてが回復傾向にあると思います。