なぜ、根管治療をするのか?

タイトルの通りですが、なぜするのでしょう?

右上の6番の違和感を訴えられ、来院されました。右上の7番は抜歯してありますね。(画面向かって左上の歯が一本少ない)なんとなく変な感じがするもののいまいちパノラマ写真では不明です。

デンタルX-線では遠心根がおかしいようにも見えます。

遠心頬側根の大きな病巣
矢状断 でみると 明らかに根尖部分の骨が溶けている=感染がある

CTで観察すると明らかに、大きな病巣(黒く、骨の様相が異なっている部分がある。)を認めます。これが、違和感の原因です。このような病巣を残したままにすると、もちろん将来的には痛むでしょうし、今でも血中感染の原因(=菌血症)となるので何とかしたほうがいいと思います。また、CTから若干、上顎洞の炎症もあるように見えます。この歯が原因で、直接的もしくは間接的に上顎洞炎(蓄膿)を惹起もしくは憎悪している可能性も否定できません。このような状態では免疫力の低下も引き起こすかもしれません。このような場合に、よその歯医者さんで、”様子を見ましょう”とか”抗生剤でも飲みましょう”とか言われるかもしれませんが、それは”痛くない歯に手をだして抜歯になる”という結末が見えているから、そのような提案がなされるのです。だれも、やぶへびをつついて、恨まれたくないのです。けど、ぼくは治療をお勧めします。今痛くはないけど、今、現在、体のためによくないし、待っていても治りません。(短期的には、抗生剤でも飲んどけばその場はしのげます。)(このような決断で何度痛い目にあったことか?)

今回の治療の目標は”歯を直す”ことではありません!!体の中から”感染源”をなくすことです。その目標を達成するに一番簡単な手段は”抜歯”です。短期間で、保険も聞きますので安く早く感染源の除去ができます。どうしても、歯を残したいなら歯の中からお掃除をする根管治療です。これは場合によっては外科を伴う場合もありますし、また、歯が破折していたなら、抜歯です。

痛くなく、安く、歯も残したいという都合のいい方法はありません(あるなら、もう治療してあるはずです)。逆に、顕微鏡をつかって、新しい材料を使えば必ず歯が残せるという保証もありません。そこで、選択をするのは、患者さんです。   

あ~   と残りの文章はまた気が向いたら~~

通法では発見困難な根管の探索および拡大

他院からの紹介です。近心根管にリーマー挿入時に違和感が消えないとのことでした。CTを撮影してみると、MB根が存在しそうな根管形態です。実際にのぞいてみると、、、まったく、見つかりません!!滝汗~~~

気を取り直してMLからのフィンを清掃することにしました。すると、Er-YAGレーザー処置中にイスムスの形が見えてきました。試しにリーマーを挿入してみると、、OK、”I got the penetration !!!!” 今回の症例は少し焦りましたね。

MTA断髄の2年後の予後

タイトルの通りですが、断髄や直接覆髄をおこなって、直後の予後が良くても、長期的な予後が良くないとまったく意味はない。歯髄に炎症が惹起されたり、部分的な歯髄壊死が起こればそれは何の意味もないものです。今回の動画はMTAで断髄を行って2年後の右上6番のCT像です。もちろん冷温水痛や咬合痛もありません。CTから上顎洞の炎症もないことがよくわかります。これは、若年者の断髄の予後の良さを示す一症例だと思います。オリジナルの断髄の様子は 下のURLから見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=7IRFfTSGRJs

 

直接覆髄のためのう蝕象牙質の除去について

右上6番、24歳女性のう蝕処置で現在特に症状はなく、歯髄は健康と考えられるが、 う蝕は深い。

1時間程度のものを編集してます。MTAを貼付する直前までです

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歯髄が健康で(特に症状はなく)大きなう蝕をもつ若年者の処置は意外と難しい。う蝕を完全に取りきると抜髄になるし、う蝕を残してフッ素等のセメントでカバーしていくのか。どちらを選択するのかは難しい判断です。やはり、抜髄をするとどんなに丁寧にしても、感染根管になる可能性はあるし、また、失活歯の破折の恐れもあるので抜髄は避けたい。実際に今回の症例では、隣の7番が大きな病巣をもつ感染根管になっている。一方で、露髄を避けるためにう蝕象牙質を残して、フッ素入りセメントや抗生剤などでカバーする方法は、以前にも書いたが、どの程度の厚みのう蝕象牙質を残すの?とか細菌叢に対する診断同定がないので、やや予後に不安を残す気がする。今回の症例でもレジン充填の下に軟化象牙質の発生があり、う蝕象牙質の完全除去はやはり基本な気がする。
そこで、第三の方法として、う蝕象牙質の完全除去を目指し、露髄部分はMTAでカバーするという”直接覆髄”が選択肢としてあげられる。

近年、MTAという材料が開発、臨床応用されてその臨床予後の良いことが数多く報告されています。ただし、歴史の浅い材料なのでその使用方法や適応に数々の疑問があるのも事実です。今回は、う蝕の完全除去にはクラレ社の”カリエスディテクター”を使用しました。また、歯髄直上の象牙質切削にはEr-YAGレーザーを用いています。Er-YAGレーザーでは非接触で象牙質および歯髄組織の蒸散が可能なので、余分な圧を歯髄にかけることなく、感染象牙質および感染歯髄の除去が可能です。また、ラウンドバーではバーの先端の大きさでの削合しかできませんが、Er-YAGレーザーではう蝕象牙質の選択的な削除が可能です。

術前:歯髄に近接する大きなX線透過像あり。
術前:歯髄に近接する大きなX線透過像あり。
術直後:MTAによる直接覆髄後、7番も根管治療を開始してます。
術直後:MTAによる直接覆髄後、7番も根管治療を開始してます。6番にはやや冷水痛が認められます。

Er-YAG レーザーでの根管治療

西日本歯内療法学会での発表ネタですね。

根管の明示にはいろんな方法や知識が必要なのはいうまでもないのですが、よく言われるのが解剖学的知識が重要とかよく言われます。けれどこれがかなりの曲者です。例えば、上の7番において2根管のこともあれば、4根管のこともある。根管を2つ見つけてこれで終わりとすると、実はもう1つあったとか、はたまた、2つで正解なんだが、探しすぎて穿孔して歯に大きなダメージを与えたりとか、どのような解剖学的知識が必要なのか、よくわかんないよねー というのが本音です。そこで、確実に、安全で、安心な、根管の探索です。歯科用顕微鏡とCTとEr-YAGレーザーのコンビネーションがそれを実現します。