根管治療の成功の要素としては、根管の確実な清掃が一つ挙げられます。そのためには、根管を次亜塩素酸水溶液によって洗浄し、感染源となる汚染タンパクの確実な除去が必要であると考えています。しかし、次亜塩素酸水溶液は非常に刺激が強いですから、洗浄時に口腔内に飛び散るのはいただけません。そのためには”ラバーダム”を行うことが必須であると考えています。けれど、残存歯質がすくない歯にはラバーダムがかけれませんので、隔壁を作ることが必要になります。今回の症例のように残存歯質が少なく、かつ歯肉が歯のあった部分に増殖している場合は歯肉切除術が必要です。今回の症例のように、ごくわずかの量の切除、その後の接着操作にはEr-YAGレーザーでの切除が最適です。
破折器具除去、パーフォレーションリペアとMTAによる根管充填
知り合いの先生からの紹介、治療途中で器具が破折したらしい、2か月間がんばったが除去できない、もちろん歯の痛みも取れないとのこと。
最初に断っておくと、折れない器具はありません(当たり前)。なので細心の注意をはらっても、折れることもあります。おれてもその先に感染源がなければ無理に除去する必要はありませんし、何の問題もありません。しかしながら、今回の場合は破折器具がやや根尖を突き抜けているし、病巣もあるし、歯も痛いので除去は必須です。できなければ抜歯です。言い換えるなら、保険治療なら100%抜歯です。
今回の破折器具の除去は非常に簡単でした。あまりに簡単なので、ラバーダムするの忘れてます、、、、マイクロを除いて、破折器具が見えている、動揺しているので何の問題もなく取れました。10分とかかっていません。
次の問題は近心壁に穿孔していることと、根尖が大きく壊れていることです。穿孔部から覗いている組織はEr-YAGレーザーで処理します。余分な歯質は削除しないし、象牙質の表面処理も同時にできているので、このような場合にEr-YAGレーザーの使用はとっても便利です。あとはMTAにて穿孔部をリペアしつつ、根管充填を行うことで問題解決です。
処置終了後、1か月程度の様子ですが、根尖の透過像などすべてが回復傾向にあると思います。
根管口明示
根管口明示を行っている動画です。石灰化が強い場合の根管口明示では特に注水下での作業が大事だと思っています。(切削片が根管に詰まるので)けれど、顕微鏡下で注水下での処置はミラーに水がかかって視野がなくなるので、ちょいムズになります。低倍率なら問題無いのですが、これは顕微鏡下での処置の意味が無いとなります。ということで高倍率、注水下での切削作業ができるといいと思うので、超音波スケーラーとEr:YAGレーザーで根管口を明示してます。5:03あたりで遠心舌側根管が黒点として見えるのもわかります。
MTAによる根管充填
以前はCWCTでの根管充填がメインになると言っていたのですが、最近では、特に根管口の大きな症例、難治性の症例ではMTAで根管充填がメインとなってきたようです。
抜髄>CWCT、感染根管治療>MTA
となりそうです。
いきなり、難しそうなタイトルですが、CWCT とは Continuous Wave Condensation Techniqueの略で、根管充填法のなかでも垂直加圧充填法の一つです。 この方法は、根管のシーラーの量を抑えることができ、封鎖性がよいとされてます。いままで、日本の歯科材料社もこの方法で充填するための機材を最近続々と発売しはじめ、これからのスタンダードになる予感がします。
情報源: CWCT | 豆知識 | いとう 歯科
CT
根管治療にCTの使用はほぼ必須といってもいいでしょう。
パノラマやデンタルでは見つけられない(=診断できない=直せない)病巣が見つけられることが、多々あります。